薩摩中霧島壁を求めて 番外編

毎週月曜日は ほりおの部屋の更新日です。
雨が降ろうが 雪が降ろうが 槍が降ろうが
スタッフから もうやめろと 言われるまで 継続してまいります。

今回は 11月に弊社 宴会部長の田中と宮崎に取材に行った報告を
させていただきます。
エッセイ風にまとめましたが 長文になりましたので
お暇な方は お読みください。 そうでない方は
お暇なとき しかし 忘れないうちにお読みください。

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男は 南国宮崎の人里離れたシラス大地の山にいた。
2万5千年前 現在の鹿児島県北部を火口とする
カルデラの大噴火によって 火砕流が堆積してできた山である。

高さ150mの山のふもとにたたずみ
自然のスケールの大きさと その中に埋もれる
己の存在の小ささを感じていた。

数ヶ月前 男は社長より 会社で標準仕様として取り扱っている
素材の研究の深堀 そして 本質の良さの再発見するべく
現地に赴き レポートをまとめよ という指示を与えられた。
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宮崎空港に着き 長距離バスに乗り込む男の足取りは重かった。
社長の指示の本質は何であるのか? そしてこのアバウトな内容の指示
に対して 如何に社長を唸らせる レポートをまとめれば良いのかを 模索していた。
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男は今年34歳になる。家を創り上げることに 己の仕事の価値を見出し
大学を卒業後 十数年 彼が理想とする 木の家創りに 携わってきた。
工業製品ではなく 人にやさしい 自然の素材での家創りである。
しかし 未だ 良い家創りの本質が見えない。そんな時の社長の命令であった。

バスとタクシーを乗り継いで
株式会社高千穂の工場にたどり着いた。
出迎えてくれた 工場の部長 責任者は温かく説明をしてくれた。
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薩摩霧島壁の制作過程はその殆どが手作業であった。
100%自然素材だから 人の手の感触が必要なのである。
乾燥作業も人工ではなく 自然に任せるそうだ。
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無農薬野菜もまたその殆どが手作業であると聞いた。
農家の人は農薬が人に与える影響を知るが故 その手間を惜しまない。
そして 住まいの空気は食物以上に重要であると 男は感じた。
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男は子供時代のことを思い出していた。男の実家は木造住宅で
壁は塗り壁で仕上げてあり 暇つぶしに何度も壁を爪で削り取っていた
記憶がある。土壁の香りは独特でどこか甘酸っぱくかび臭い匂いが大嫌いであった。
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男は部長に塗り壁の欠点の本質について部長に尋ねた。
「色あせていき最後はぼろぼろになっていく塗り壁は時代遅れではないでしょうか?」
部長は、何も答えず頷いた。
「何故 日本の住宅の壁は塗り壁を多用してきたのでしょうか?」静かに部長は男に尋ねた。

心の中で男は呟く.....
高温多湿のこの国では湿度の調整が住宅には欠かせない。空調設備のない時代では
なおさら調湿を素材に頼るしかない。音の問題もある。厚く塗る壁はそれ自体防音性を保つ。
男は部長に伝えた。

部長は静かに話した。
「その通りです。それだけではなく この霧島壁は消臭効果と空気清浄化作用を併せ持つのです。
空気清浄機はいりません。」

男は更に訪ねる。
「耐久性そして 独特のカビ臭さはないのですか?」

部長
「人工では決してつくれない多孔質構造の微粒子でできたこの素材は半永久的に
消臭効果を保ち 外ににおいを漏らさないのです。 耐久性もしかりです。」
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そんな素材があったのか しかも工業製品ではなく 自然の力の偉大さを男は感じた。
46億年前 地球はマグマに包まれていた。マグマの温度が下がり海水によって冷やされ
鉱物が出来 そして地球上の生物の源となるタンパク質がつくられていった。
マグマから生まれた火山灰シラスは地球誕生のエネルギーそのものと言っても過言ではない。
マグマと人間 大自然のエネルギーに包まれ 輝くロマンを男は感じていた。
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男は家造りに対して ひとつの考えがまとまった。
人間が真に安らげる空間は 人工では決してつくることが出来ない。
地球上には大宇宙 大自然のエネルギーを包み込んだ素材が多く存在し
それらの素材を活かすことが 自然への恩返しでもある。

小さな悟りに達した男は また新たな自信をつかみ
表情も晴れやかであった。

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おしまい