- 家づくりコラム
断熱リフォームとは? 快適な暮らしのために
今回は、仲建設スタッフもお勧めしたい断熱リフォームについてお話しさせていただきたいと思います。 断熱性能を上げる断熱リフォームは、建物の断熱性能をあげて、より省エネで、より快適に過ごせる温熱環境の改善になるリフォームです。 では、特に戸建て住宅のリフォームの中で断熱リフォームの必要性はどんなことになるのでしょうか?
まず戸建てのリフォーム工事について重要度で大きく3つに分けてみました。
◇ 1つ目は家を守るメンテナンス(家の寿命を伸ばす必ずやらなければならないリフォーム)
耐震補強工事、防水工事、外壁補修工事、防蟻処理、水道管更新工事(鋼管から樹脂管へ)等
◇ 2つ目は家の性能を良くするためのメンテナンス(やった方が良いリフォーム) 断熱リフォーム
◇ 3つ目は暮らしを豊かにするためのメンテナンス(やりたいリフォーム)
老後に備えたバリアフリー工事、美しく使い勝手をよくするリフォーム工事 最新設備を設置
断熱リフォームは2つ目にあたり、やった方が良いリフォームになります。 必ずやらなければならない家の絶対寿命を伸ばすリフォームではありませんが、 断熱性能を上げる断熱リフォームは、家の性能をあげてより快適に暮らせる、省エネと健康に質する温熱環境の改善になります。
目次
そもそも断熱性能とはなんでしょう?
冬暖かく・夏涼しく暮らせるための機能を加えるために必要なのが断熱性能になります。 具体的には、屋根(または天井)・壁・床の外気に触れる部分に断熱材を入れ、窓には断熱サッシ・二重サッシなどを使います。 できるだけ性能の良い断熱材を家の外側に隙間なく充填することで、外気の暑さ寒さをブロックし、少しの冷暖房で 家中を快適な温度に保つことができます。
断熱性能を高めるメリットは?
① 冷暖房にかかる光熱費が少なく済みます。 断熱性能を上げることで 最小限のエネルギー(光熱費)で冬暖かく・夏涼しく過ごすことができます。 近年は電気代も上昇しており、今後もまだまだ上り続けると言われていますから 毎月支払う光熱費が少しでも抑えられるのは有難いですね。
② 断熱性能を上げ、冬場に家全体を暖かな空間にすることは健康にも関係しています。
◇温度差による身体への影響
断熱性能と健康との関わりを考える際に、知っておいて頂きたいのが気温と血圧の問題です。 10℃の温度低下で、年代によらず気温が下がれば血圧が上がっていきますが、 年齢が上がるにつれその影響がどんどん大きくなります。 70代を迎えると10℃の温度低下で10以上も血圧が上がっています。 高齢になるほど、寒いということ自体で体に大きな負担がかかってしまうのです。 家の中に温度差があり、血圧に急激な変動を生じさせてしまうことをヒートショックといいます。 暖かいリビングから寒いお風呂に入るとき、暖かいお布団から寒いトイレに行くときなどに 大きな温度差がある場合、血圧に急激な変動を生じ、最悪な場合は死亡事故にもつながる可能性もあります。 ヒートショックの原因となる家の中の温度差は、家全体の断熱性能が低いために起こります。 断熱性能を上げ、家全体の室温低下・温度差を防ぐことでヒートショックを改善することができます。
◇アレルギーと身体への影響
断熱リフォームしなくても、、、光熱費はかさむけれど、しっかり暖房器具で温めればいいんじゃないかと 思われる方もいらっしゃるかと思います。 しかし、冬場の空気は乾燥していますが、ただ室温を上げるだけでは湿度が下がってしまいます。 湿度が低い過乾燥状態になると、ドライアイ・アトピー性皮膚炎の悪化、風邪やインフルエンザにもかかりやすくなってしまいます。
そこで快適性を求めて暖房器具+加湿器を利用すると、窓の断熱性の低い部分から「結露水」がどんどん発生してしまいます。 断熱性能の低い1枚ガラスの窓で、朝起きたら窓周りがビッショリ濡れているということはありませんか? 断熱性能の低い家では、結露に悩まされることになってしまいます。 なぜ結露が悪いかというと、放っておくとカビの発生につながってしまい、 カビが繫殖している場合はダニも発生しやすくなります。 近年ハウスダストやカビのアレルギー性疾患にかかる方が増えていますが、このような住環境からくる悪影響との関係が明らかになっています。 より断熱性能の高い家に住むことで、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、目のかゆみなどのアレルギー性疾患を 中心とした症状に対し、改善が期待できます。
断熱性能を高めることは光熱費のメリットだけでなく、赤ちゃんからお年寄りまで安心して暮らせる家になるということなのです。 断熱リフォームは、家の性能をあげてより快適に暮らせる、省エネと健康に資する温熱環境の改善になります。
我が家の断熱性能は、どうなの?
断熱性能の重要性がわかったところで、実際に我が家はどの程度の断熱性能があるかを把握することで 性能が足りない場合は何をすればいいのかを検討することになります。 住宅の断熱性能は目安となる基準が法律で定められており、つまり、建てられた年代によっておおよその断熱性能を推測することができます。
◇断熱基準を定めた法律から見ていきましょう
1980年(S55)【旧省エネ基準】に、エネルギーの仕様の合理化等に関する法律(以下省エネ法)が示されました。 これにより、床・壁・天井に断熱材を入れるという概念が生まれました。
1992年(H4)【新少エネ基準】に法改正では、断熱性能の強化だけでなく、家全体の隙間を塞ぐ気密という概念も生まれました。
1999年(H11)【次世代省エネ基準】に法改正では、断熱性能の強化、気密住宅を前提、計画換気や暖房設備に関する規定も加わりました。
上記の断熱基準には、達成の義務はありませんでした。全ての家に備わっているとは限りませんが目安にはなるかと思います。
断熱性能をあげるリフォームの費用対効果を考えると優先順位はどこから?
費用対効果を念頭に、断熱工事の手順を考えると、先ずは窓・床下・天井を断熱化することをお勧めします。 これらは、解体工事との絡みがなく、工期もそれぞれ1~2日と短期間で荷物の移動もなく、住まい手の負担が少ない工事になります。 窓・床・天井の断熱工事をすることで、全体の3分の2の性能を上げることができます。
① 窓について 窓にはおおきく3通りの断熱方法があります。
◇ 1つ目は「内窓」 今あるサッシはそのままに内側にもう一つのサッシを取り付ける方法です。 内窓は 樹脂でできた断熱性の高い窓で、今あるサッシとの間にも更に空気層を作ることができます。 高い断熱性と遮音性能も期待できます。 ただ取り付けるだけの工事ですから、窓一つでも気軽に行うことができ費用対効果の高い方法になります。
◇ 2つ目は「カバー工法」 今あるサッシの枠だけ残し、その上に新しいサッシを被せる方法です。 樹脂製のフレームに断熱ガラスが入った断熱サッシに交換することで窓の断熱性能を上げることができます。 ただし、今の窓寸法より一回り小さい窓になるという点、内窓より高額になります。
◇ 3つ目は「断熱ガラスに交換する」 今あるサッシのガラスだけを「断熱ガラス」に交換するという方法です。 「断熱ガラス」とは2枚のガラスの間に空気層や真空層などを設けて熱を伝えにくくしたものでガラスを交換するだけですから 簡単な工事です。ただしガラスの性能によりコストの幅があり内窓より高額な工事費になる場合もあります。 また、サッシの枠はアルミのままなので、アルミ枠の結露などは解消しません。
② 床・天井に断熱材を充填する
断熱材は、壁の中、床下、天井裏など、室内と室外の境界部分、普段見えない部分に入っています。 新築と同じようにしようとすると仕上げ壁を剥してまた元に戻すなどの工事も必要になり、かなり費用がかさみます。 幸い、部分出来な断熱補強工事でもある程度性能を引き上げていくことは可能です。
◇ 床下について 床下には、通常防蟻処理・給排水のメンテナンスのために床下点検口が設けられています。 点検口から潜り、床裏の断熱材を追加したり、吹き付けしたりすることができます。 床の断熱性能が上がることで、足元に直接触れる冷たさが解消されるため、体感的にはより効果を実感できます。
◇ 天井について 天井には、通常小屋裏という空間があり、小屋裏空間がある場合には、天井点検口から屋根面に断熱材を 吹き付けたり、天井裏に断熱材を追加充填することが可能です。 天井(屋根)の断熱性能が上がることで、夏の太陽のよる直達日射による熱を室内に入れない効果があります。
断熱リフォームは全面改修でなくとも、部分改修、またはゾーン改修(1階のみ・2階のみ)が可能です。 予算に合わせた断熱リフォームを信頼できる知識ある施工業者に相談されることが良いと思います。
断熱リフォームはいつやったらいいのか?
今回は断熱リフォームの大枠をお話しさせて頂きました。 断熱性能の重要性を理解して頂いたと思います。 では、断熱リフォームはいつやったらいいのか? 一日でも早くやったほうがお得です。何故なら断熱リフォームは家そのものの性能を引き上げるため、建物がある限り そのメリットを享受できるからです。
さて、次回は断熱性能と家の気密性(隙間)について、気密をとるための工事についてお話ししたいと思います。
※参考文献:やらなければいけない一戸建てリフォーム(高橋みちる著)